活動報告書

2022年度・第3期活動報告書

いつも当団体の生活困窮者支援にご支援ご協力をいただきまして、誠に有難う御座います。

この度、第3期 2022年度(2022年4月~2023年3月)の活動報告書が完成いたしましたので、ご報告いたします。

フードバンク仙台は、宮城県で1回目の緊急事態宣言が出た直後の2020年5月7日に、有志が集まりボランティア団体として発足しました。当時“せめて仙台市内だけでも、誰ひとりとして貧困によって餓死させない”、という気持ちをもって活動をスタートしたことを、今も強く覚えています。

発足から2023年3月末までの3年の間に、主に仙台市内の生活困窮者へ対して、延9千世帯(人数にすると延べ2万人)へ43万食を無償で支援と合わせて生活相談をおこない、多くの方の具体的な貧困解消支援をおこなってきました。

これまで3年間、活動を続けてくることができましたのも、ひとえに皆さまのご支援ご協力のおかげで、心より深く感謝申し上げます。

食料支援では、まず何よりも命を守ること、生きる為に絶対に必要な食料を迅速に届けることを重視してきたため、24時間インターネットから食料支援申請ができ、全て個人宅へ置き配でお届けするという方法をとってきました。

この方法は、大変な労力がかかりますが、コロナの感染拡大防止で人が集まれない社会状況であったことや、日時と会場を決めて行う食料配布会には時間的に来ることができない、学生や働いている方、子育て中の方、身体的に外出が難しい方でも、誰に対しても迅速に食料を届けるために、命を守る為に、非常に良い方法となっています。お届けする食品は、ライフラインや調理器具、アレルギーの有無、赤ちゃん用ミルク、宗教上食べられない食品などを確認し、1人1人に合った食品を、家族が1週間食べられる分の食料を、依頼があった都度、お届けしてきました。

また、フードバンク仙台が大事にしてきたことの中に生活相談があります。
困窮者から食料支援の依頼を受けて、食料をお届けして終わり、ということでは、貧困状況は解決しませんので、私たちは食料支援と合わせて、約30項目の生活状況の聞取りをおこない、その方にあった情報提供や支援をおこない、具体的にその方の貧困課題が解消するように、支援をおこなってきました。

コロナ以降、また昨今の物価高騰により、多くの一般労働者が困窮していますが、こうした人たちは、それまで福祉団体や行政などに関わることが殆どなかった方々です。実際、フードバンク仙台に食料支援依頼を寄せる世帯の多くは、他のどこにも生活困窮のことを相談していないと回答しています。

そうした中、私たちがおこなってきた、食料支援をきっかけとして、必要な支援に繋ぐという、新しい食料支援の在り方は、社会的に重要な相談機関の役割を担ってきたと言えます。また、こうした、個人宅への配達や、食料支援と合わせて生活相談をおこなうフードバンク団体は、全国的にも珍しい取組みです。

活動報告書には、2022年度に当団体へ直接食料支援の依頼があった、延3,029 世帯の聞取りからみえてきた困窮者の実態調査内容を掲載しています。仙台市内の民間団体で、これだけの困窮者の実態を調査し把握している団体は、他になく大変貴重なデータになるかと思います。そして、おそらく皆さんが耳を疑うような現実をまのあたりにされることと思います。

しかし、実際に私たちのところには、数日間食べていないという方からの相談が毎日のように寄せられています。昨今の物価やライフラインの高騰で、食事はおろか、クーラーもつけられない、お風呂も数日入っていない、電気すらつけずに生活している、ライフラインが止められている、という方も非常に多くいます。食料支援に頼らざるを得ない人たちが増加していること、「貧困と飢餓」が日本で広がっていることが、お分かりいただけるかと思います。

私たちは、この活動を通して、その先の希望ある未来を描きながら活動しています。そして今、この活動を通して、多くの市民や企業、団体さまの、温かい支援の輪が広がっています。こうした輪やコミュニティこそが、この先のいい社会へ繋がっていくと、私たちは信じています。

この活動は、年間千人以上の市民や企業、団体さまからの食料品の寄付、活動費の寄付、ご協力で成り立っています。そして、日々、共に活動をしてくださっている100名ほどの高校生から80代までの登録VTさんの協力で活動できておりますことを、改めて深く感謝申上げます。

まだまだ支援が必要な方は多くおり、この貧困という課題に取り組んでいく必要があります。今後、私たち一人ひとりが、どんな社会、世界をつくっていくのか、どんな社会を次世代の子どもたちに残していくのかを、この報告を共有させていただきながら、皆さまと共に考え、これからも共に活動し実践していけたら嬉しく思っております。

最後に、私たちのこの活動は、無償性の活動で、1円も収益がありません。
財政的に非常に厳しく、このままでは2023年度すら活動継続が難しい状況です。
引き続き、皆さまのご支援、ご協力のほど、どうか宜しくお願い申し上げます。

フードバンク仙台より

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