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【独自調査】物価高騰により6割のフードバンク団体で食料寄付が減少していることが判明しました

各種報道でも取り上げられている通り、昨今の物価高騰の影響による食料寄付量の減少を受けて、個人や企業からの寄付で成り立つ全国のフードバンク団体の活動は、非常に厳しい状況に置かれています。
年間約3000件の食料支援を行うフードバンク仙台でも、米の在庫が残り1ヶ月分を割り込むなど、活動開始以来の危機的な状況に置かれています。
一方で、物価やエネルギー料金の高騰で貧困や飢餓はますます拡大し、食料支援のニーズはいっそう高まっています。
このままでは増加する生活困窮者への食料支援が追いつかなくなり、人々の生存や生活がより一層脅かされます。
フードバンク仙台は、こうした現状を可視化しようと、全国のフードバンク団体へ実態調査を行いました。

【調査概要】
調査名:フードバンクへの食品寄付の現状と食料支援事業への影響アンケート
回答方式:Googleフォームへの入力(選択式+自由回答)
回答期限:2024年7月19日(金)24時
対象団体:農林水産省のHP掲載の全国のフードバンク団体(全272団体)にメールで依頼
回答数:66団体(フードバンク仙台回答含む)
調査主体:NPO法人フードバンク仙台

【調査の結果のポイント】
①調査結果ではまず、この間の食料寄付量が「減少した」が40.9%、「大いに減少した」が22.7%となり、計63.6%の団体で食品寄付が減少していることが判明しました。

◯毎月ごとの寄付量の回答がある37団体の2023年4月~6月の各月の総食料寄贈量(小数点以下四捨五入)を1としたときの2024年の対応する各月の総食料寄贈量の割合(小数点第三位以下四捨五入)。
2023年4月:239203kg、2024年4月:212814kg  (0.89%)
2023年5月:202664kg、2024年5月:168164kg  (0.83%)
2023年6月:311780kg、2024年6月:192193kg  (0.62%)
→食料寄贈量が2割減でそれまで食料を受け取っていた10人のうち2人が受け取れなくなり、4割減で10人のうち4人が受け取れなくなる。団体毎の差も大きく、前年同月の半分に満たない団体も多い。また、毎月の寄付量の集計を行っていない団体は比較的小規模な団体が多いと考えられ、同設問に未回答の団体の減少幅はより大きい可能性も。

◯次に、食料寄付量が「減少した」「大いに減少した」のいずれかを回答した42団体に、食料提供活動への支障を質問したところ、「支障がある」が39.0%、「大いに支障がある」が43.9%となり、計82.9%の団体で活動に支障が出ていることが明らかになりました。

②食料の中でも米の寄付が特に深刻な減少となっている実態が明らかになった。「減少した」が27団体(40.9%)、「大いに減少した」が18団体(27.3%)。合計で45団体(68.2%)となり、約7割の団体で米の寄付が減少していました。
米は食料支援の中でもお渡ししやすく、栄養(カロリー)も摂りやすい。また、多くの人々の食生活の中心にもなっている。お米の不足は食料支援活動の質を低下させ、食料支援の継続性を脅かしています。

③「食料提供方針の現状と今後の対応(複数回答可)」の設問には、「特にこれまでと変更はない」が回答数14件だったのに対し、「食品寄付の呼びかけを強化した」が回答数38件となっており、多くの団体が食料不足に危機感を抱いて呼びかけを強化していることが分かりました。
また、「渡す食料の量が減少した」が36、「渡す食品の種類が減少した」が28、「食品を渡す人数や支援団体・機関数を以前よりも減らさざるを得なかった」が13となっており、食料支援活動が大きく制約されている実態が浮かび上がった。
さらに、「今後、渡す食品の量を減少させることを検討している」という回答が19件、「今後、渡す食品の種類を減少させることを検討している」が13件、「今後、食品を渡す人数や支援団体・機関数を以前よりも減らすことを検討している」が11件となった。
「その他」(自由回答)は11件だったが、その中にも「毎月配布できないこともある」「2020年度から2023年度までは毎月の食料支援を実施していたが、活動に限界があったため今年度は長期休み前の年3回の実施に変わった」などの回答も見られました。

④「Q6、2024年1月以降、貴団体が直接支援する食料支援利用者、もしくは他団体・機関への食品提供を通じて間接的に支援した利用者に以下のような人はいましたか(複数回答可)」という設問の回答は次の通りです。
「栄養不足で心身の健康が大きく損なわれている」という回答が23件、「一日一食で過ごしている」39件、「3日以上何も食べていない」25件、「一週間以上何も食べていない」2件となっている。健康を害し、生命を脅かすほどの極度の貧困状態にある人々の生存を食料支援活動がぎりぎりのところで支えている実態が浮かび上がる。
また、「料金滞納で電気が止まっている」という回答が41件、「料金滞納でガスが止まっている」39件、「料金滞納で水道が止まっている」27件となった。
一方で、「上記のような利用者は居ない」という回答は4件にとどまった。なお「利用者の状況は把握していない」との回答は14件あった。
「その他」(自由回答)は13件だった。その中には、「現金300円しか持っていない」「雨水を飲んでいる。ビニールハウスに住んでいる。手持ち現金が数百円など」「3日後に電気が止まる」などの回答も見られた。

このまま食料寄付の減少が続けば、民間団体による食料のセーフティーネット機能は停止し、餓死・孤立死がこれまで以上に急速に広がってしまうことが懸念されます。

なお、フードバンク仙台には2024年1月以降、把握しているだけでも「2週間以上何も食べていない」という世帯が2世帯居た。また、3日以上何も食べていない、いずれかのライフラインが止まっているという訴えは毎週のように寄せられている。以下、2件、フードバンク仙台への相談事例を紹介します。

◯70代女性・一人暮らし(2024年1月に初回相談)
年金が一月に均して六万五千円。家賃もかかり、部屋の設備が故障するなどの状況が重なり、貯金がなくなり、二週間ほどほとんど食事を取らずカレー粉を溶かして飲んでいる状態でフードバンク仙台に食料支援依頼。依頼時点で所持金は数百円もなく、次の年金支給日は一ヶ月近く先。携帯電話も料金未納であと数日で停止するという状況。
→緊急度が高いため、1/19にスタッフが訪問を行い、2週間分の食料の支援と安否確認を行った。本人は先に区役所に電話で相談していたが、区役所からは窓口に来るように言われ、フードバンク仙台を紹介されたのみだった。本人は足に不調があり、歩くことも困難な状況であり、役所に自力で移動することはできなかった。その後、当団体のサポートによる役所との交渉で、役所の職員が本人宅に来て生活保護申請の手続きが取れるようになり、無事生活保護の利用につながった。

◯40代の一人暮らしの男性(2024年6月に初回相談)
もともと派遣で働いていたが、コロナ以降に仕事が減った際に携帯電話の料金を支払えなくなり、
携帯が止まって、派遣の仕事も連絡が取れないので打ち切られてしまった。
蓄えも使い果たし、先週公衆電話から依頼があった時点で、所持金数百円、2週間以上なにも食べていないという状態。
→幸い、食事を摂って元気を取り戻し、本人が自分自身で生活保護を申請し、受理された。

⑤「その他、食料寄付の減少や支援の現場の実情などについて社会に広く伝えたいことがあればご自由にご記入ください」という設問への回答。回答数は50件。以下、その一部を紹介します。
・「フードバンク活動は地域に密着して行われる食糧支援を総合的に支援する重要な社会資源であり、日本社会の中で困窮者への食糧支援はすでになくてはならないものになっています。一方で、フードバンク活動への自治体や行政からの支援は十分といえず、このままでは弱者が淘汰される社会になってしまいます。市民の命を守るため、各自治体においては地域で行われている食糧支援活動のための食品保管倉庫提供をするなどの対応をお願いします」
・「お米ですが、現在とても少ない状況です。県から年度末に米とパックご飯の寄付があったため5月まで何とかなっていましたが、6月で在庫が尽き、近隣の農家や企業、FBから米を提供してもらいしのいでいる状態です。」
・「米どころの新潟県村上市ですが、米を配布できないという状況です。利用者の多くは経済的に困窮していますので、米をはじめ食料品の購入が今までよりも増えるのは相当大変だと思います。育ち盛りのお子さんがお腹を空かせているのではないかと胸が痛みます。」
・「物価高騰によりボランティアでの運営は非常に難しくなり、支援者側の人員も不足しているが、食料支援を求める申込は後を絶たない。スタッフを募集しようにも人件費が確保できておらず、次の展開が見込めていない。 食品ロス削減緊急対策事業のうち大規模・先進的フードバンク活動支援等募集されていたが、清算払いではとてもではないが手が出せず、運営費の確保すら難しい。 この地域には、社協が行っているフードバンクはあるものの、社協にも食品が集まりにくい現状に、今後どうするかの話し合いが行われているが、食品も大事だが運営出来ないともともこもない。」
・「自立支援窓口には行政から委託費が支払われているが、自立支援窓口へ食料支援物資を提供しているフードバンク団体には経費的補助はなく、民間助成金や寄付で運営経費を確保して活動しているため、多くの団体が綱渡りの状態でギリギリの運営をおこなっている。食品ロス削減、生活困窮者への食のセーフティネットとして一部でも補助して欲しいと思います。」
・「最近の物価高騰により、多くの家庭が生活費の増加に苦しんでいます。特に低所得家庭においては、賃金の上昇が追いつかない現状が深刻な問題となっています。最新の統計によれば、食料品価格は前年同月比で10%以上の上昇を見せており、その影響を最も強く受けるのが貧困家庭です。彼らは生活必需品を手に入れるために困難を強いられています。」
・「当団体の場合は2024年度になり食料品の寄付が少し減ってきているように思う。しかしながら困窮世帯の支援をしている団体の数は年々増え続けていて、こども食堂団体も弁当配布やフードパントリーをおこなう中で、食品の不足を訴えてくることが多くなってきている。昨今ではライフラインが止められてしまい、温めることすらできず、こちらとしても支援をする食品に苦労することが多くなっている。昨今、お米が不足していることから、お米を渡す量も減らしている。」
・「コロナ禍が終わって第5類に移行した後に、生活に困窮したという方が多いと感じている。 食品の寄付が大幅に減少しているので、企業等に寄付の協力をしていただきたい。」
・「現行の食品ロス削減政策や制度では、フードバンクに寄せられる寄贈食品量は増加し辛い。流通に乗った後の食品寄贈だけでは無く、原材料から製造の過程で発生する食材のロス分をフードバンクに寄贈できる様、新しい角度での補助制度を検討して貰いたい。」
・「格差社会でのフードロス激減した現状は、ボランティア団体としての取組は限界を超えている、実態はすでに政治問題になったと思う」
・「今月から大口の食品のご寄付が突然打ちきりになりました。飲食店の事情もあることですから致し方ないのですが、その食品の配布を口実に毎週会って会話を交わしていたご家族ともコンタクトが取りづらくなりました。物が無いなかで、手探りで今後の活動を探っているところですが、まもなく夏休みが来ます。私たちも不安でしかない気持ちでいっぱいです。」
・「物価の上昇により今までよりも配布依頼はかなり増えている。地方都市で大企業の無いような地域では、企業の体力もなく、末端の賃金の上昇は望めず公務員など高収入所得者と、低賃金労働者の生活格差が大きく広がってきた印象。合わせて、物価の上昇などから生活の余裕もなくなり寄付の件数は激減した。」

【本件についての追加取材もお受けしております】
フードバンク仙台では、今回の調査で明らかになった食料寄付の全国的な減少と、困窮者の生存を守る支援活動の継続の危機について広く社会に訴えたいと考えています。ぜひ、取材・報道をお願いします。
調査の実施主体であるフードバンク仙台では、生活困窮者の相談の実態や、食料寄付の減少の状況についてより詳しい取材をお受けすることも可能です。食料支援活動の現場や食料倉庫の在庫状況の撮影が可能です。また、当団体では食料寄付の減少を補うため、昨年から農地を借りて野菜を育てており、困窮世帯に野菜の配布も始めております。そうした農地の様子の取材も可能です(7/21・28にジャガイモを収穫予定)。また、食料支援を受けている困窮者自身への取材についても相談可能です。

◎活動継続のために食料・活動費の寄付をお願いします

生活に困窮する人々の生存・生活を守り、深刻化する貧困の拡大を食い止めるためには、継続的な支援のための食料が必要です。生活困窮者への食料支援を継続するために、皆さまの温かいお力添え、よろしくお願い申し上げます。
▼食料の寄付はこちらから
https://foodbanksendai.com/donation/#donation2

また、活動費の寄付も受け付けております。フードバンク仙台は、皆さまからの寄付金を主な財源として活動しており、頂いた寄付金は事務所家賃、食料配達のガソリン代、電話代などに使わせていただきます。皆さまのご協力を、よろしくお願いいたします。
▼活動費の寄付はこちらから
https://foodbanksendai.com/donation/#donation_a

◎ボランティアを募集しています!

フードバンク仙台では、常時、一緒に活動するボランティアを募集しています。配達、内部作業、食料の箱詰め、事務作業、農地作業など様々な作業があります。社会から貧困や飢餓をなくしたいという方、フードバンク活動に関心がある方は、事務局へメールでご連絡ください!

▼ボランティア募集の詳細はこちらから
https://foodbanksendai.com/volunteer/

◎【全国の学生&若者対象】夏季インターンを募集しています!

さらにこの夏は、夏季インターンシップを実施し、食料危機に立ち向かうために一緒に活動する仲間を全国各地から募集します!具体的には、食糧梱包・配送、生活相談、社会調査、野菜生産、外国人支援、食堂開催、勉強会…などの活動を予定しています。
また、本インターンシップを通して得られた経験やノウハウを、それぞれの地元・地域へ持ち帰り、生かせるような場にしたいと考えています。地元でフードバンク活動を始める、NPO法人を立ち上げる、地域食堂を始めてみる…など、地方から社会を変える新しい挑戦を一緒に始めてみませんか?地域から社会を変えるために何ができるかを学び、実践したいという方は、ぜひこの夏、フードバンク仙台でのインターンにご応募ください。

▼夏季インターンシップの詳細はこちらから
https://foodbanksendai.com/news/2024-internship/

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