フードバンク仙台では、仙台POSSE(労働問題に取り組むNPO)が主催する留学生向けのフードパントリーへの、食料提供を行っています。
そのイベントの様子をお伝えします。
(以下、仙台POSSEのブログより引用)
仙台POSSEでは、定期的に留学生向けフードパントリーを開催しています。留学生は、週に28時間しか働けないなどの就労制限があります。また、仕事に就けたとしても、職場で労働問題を抱えることも少なくありません。実際、仙台POSSEと連携している労働組合である仙台けやきユニオンによると、留学生に対して約3ヶ月の間、賃金(約30万円)が支払われないといった違法行為が行われていました。
〈参照〉 未払い賃金を支払わず、不誠実な対応を取る会社に対して、団体交渉・街頭宣伝を行いました! | 仙台けやきユニオン
そこで私たちは、フードパントリーを行い、フードバンク仙台から提供してもらった食料を留学生に渡しつつ、生活・労働相談を行い、留学生が具体的にどんなことに困っているのかの聞き取りを行っています。今回は、1月14日と2月11日に行ったフードパントリーについて報告していこうと思います。
◎1月14日のフードパントリー
1月14日のフードパントリーには、バングラデシュ、ネパール、スリランカ、パキスタンなど、様々な国籍の留学生が来てくれました。一人ひとり、食べ物の入ったボックスから自分が食べたいものをビニール袋に詰めてもらいました。
(1月14日フードパントリーの準備の様子)
(1月14日フードパントリーの様子)
その後、留学生とお菓子を食べながら、生活や仕事についての聞き取りをしました。その結果わかったのは、留学生の多くが過去に労働問題にあった経験があるということです。例えば、留学生Aさんは飲食店のアルバイトを頑張っていたため、時給をあげてもらっていました。ところが、店長が替わった途端それまで受け取っていた賃金を下げられてしまうということがあったそうです。
また他にも、留学生Bさんは深夜のバイトをやっていました。そこでは2人体制で営業していました。しかし、Bさんと一緒に働いていたもう1人が休憩時間が1時間にもかかわらず2〜3時間の休憩を取っていたそうです。結果、Bさんは「ワンオペ」の状態で仕事をせざるを得ない状態になり、それが原因で仕事を辞めたと語っていました。その他にも仕事の準備時間に対して賃金が支払われていない留学生もいました。
このような労働問題を解決する手段の一つに、ユニオン(労働組合)に相談、加盟して会社と交渉するという方法があります。しかし、留学生の多くはユニオンを知らないというのが現状です。
そこで、今回のフードパントリーには、仙台けやきユニオンに加盟している留学生にも参加してもらいました。その留学生から、実際にユニオンに加盟して労働問題(不当解雇)を解決できたことを話してもらいました。その結果、留学生の何人かはユニオンに関心を持ち、一緒に留学生の労働問題を解決していきたいと考えてくれました。また、ユニオンの活動に共感し、加盟してくれた留学生もいました。
1月14日のフードパントリーを通して、留学生の多くが今後も労働問題を抱える可能性があることを感じました。そのときには食糧支援をするだけでは不十分です。POSSEやユニオンと連携して労働問題そのものを解決していく必要があります。そのためにはフードバンク仙台、POSSE、仙台けやきユニオンのことをより多くの留学生に知ってもらい、何かあったときに相談できるようにしていくことが重要だと感じました。
◎2月11日のフードパントリー
2月11日に開催したフードパントリーには30人近くの留学生が参加してくれました。なかには前回からの「リピーター」として参加してくれた留学生もいました。留学生との信頼関係が少しずつきずけている証拠だと思います。
今回のフードパントリーでは、フードバンク仙台から提供してもらった食料をそのまま留学生に渡すだけでなく、食事会のようなかたちでその場で一緒に食べながら話をしました。また、フードバンク仙台から提供してもらった春雨を調理して、「エスニック風の春雨炒め」をつくり、食べてもらいました。多くの留学生に好評だった印象でした。
(留学生に提供した食料)
また、今回は留学生に向けて日本の労働法を伝えました。前回のフードパントリーでは、留学生の多くが過去に労働問題があることがわかりました。しかし、留学生の多くはそれが労働問題であるということを知らないというのが現状です。そのため、労働法を理解することで、働くにあたって何が違法なのかを知ってもらいました。
(労働法のレクチャーの様子)
今回のフードパントリーでは前回参加してくれた留学生が、労働問題のある友人を連れてきてくれるということがありました。その留学生は、突然派遣先から「派遣切り」を言い渡されたそうです。その留学生は次の仕事をさがすことにしていたため、私たちが労働問題の解決のために何かを行うということにはなりませんでした。しかし、労働問題を相談しに来てくれたということは、わたしたちが行っているフードパントリーが、留学生にとって食料をもらえるだけでなく、仕事について相談できる場として認識されてきているのだと実感した出来事でした。
さらに、前回1/14のパントリーに来てくれた際にユニオンに加入した留学生は、同じ日本語学校のクラスメートを何人も連れてきてくれました。これからも、ユニオンやフードバンク仙台の存在が、いざ困った時に相談できる場所として留学生のコミュニティの間で広まっていくことを期待しています。
◎一緒に活動をするメンバーを募集しています!
日本で生活する留学生は、社会の仕組みによって、貧困になりやすい、労働問題を抱えやすいといった状態におかれています。このような状態を変えていくためには、まずは、留学生がどのような生活・労働をしているのかを詳しく知ることが必要です。
フードパントリーは留学生が気軽に参加して、生活や労働について相談できる場になりつつあると思います。そのため今後もこの取り組みを続けていきたいと思います。また、労働問題をかかえている留学生が来たのであれば、一緒に解決していきたいと考えています。
仙台POSSEは、このような活動を一緒にやっていくメンバーを募集しています!貧困問題・労働問題に関心がある方はぜひご連絡ください。一緒に活動をしていきましょう!https://sendaiposseblog.wordpress.com/activity-introduction/
また、フードパントリー用の食料を提供してもらったフードバンク仙台でもボランティアを随時募集しています。興味のある方・参加してみたい方はご連絡ください。
(上記のURLから主な活動を知ることができます。)