フードバンク仙台は、今年度新たに自ら食料の生産を行い、その食料を生活困窮者に配布していく事業を始めます。協力していただける農家の方に畑をお借りして、野菜作りをはじめます。
〇誰も飢えさせないためにできることをやりたい
仙台市では「光熱費を支払うか、食料を買うか」の二択が迫られたり、「まともに食べることができない」という「飢餓」の状況におかれている方が大勢います。国連では、飢餓を身長に対して妥当とされる最低限の体重を維持し、軽度の活動を行うのに必要なエネルギー(カロリー数)を摂取できていない状態と定義しています。食料支援の現場で起きていることは、量も質も担保された食事が出来ない状態としての「飢餓」だと考えられるのです。
このような状況に直面した私たちは、仙台に住む人たちの生存権を守るためには、寄付で集めた食品の分配や行政への政策要求に加えて、私たち自ら食料を生産して配ることも必要だと考えるようになりました。飢えている人たちを一人でも多く支えるため、何かしらの支援を待つだけでなく、自分達でできることをやろうということです。
幸い、知り合いの農家の方から農地を借りることができました。まずは手始めに、「じゃがいも」の生産からはじめます。夏ごろには収穫し、また秋には別の野菜を生産する予定です。このサイクルを継続・拡大させていきたいと考えています。
〇食事の「質」も高めていきたい
「飢餓」という問題は、食事の量が足りないという問題だけではありません。適切な栄養素をとることができないという「質」が担保されていないことも問題となります。
生活困窮者は、炭水化物過多で塩分や添加物の多い加工食品中心の食事に偏りがちです。特に野菜や肉、卵などの食品の価格高騰が続き、普段の食事のために購入することが難しくなってきています。また、私たちや他の支援団体の食料支援の多くも、炭水化物やレトルト食品に偏りがちです。栄養の偏りがあったり糖分や塩分の多い食品を摂取するせいで、貧困であっても肥満や糖尿病、高血圧などのリスクを高めています。
また、子供時代の不健康な食事は発育に影響を与えるだけでなく、記憶力や集中力にも影響するといわれており(出典:内閣府公式サイト 「 平成28年度 子供の貧困に関する新たな指標の開発に向けた調査研究 報告書 」)、子供の将来に大きな悪影響がでてしまう恐れもあります。
だからこそ私たちは、なるべく農薬を使わず、健康にも良い、質の担保された野菜を生産することを目指します。
私たち自身による農地のプロジェクトは、生活困窮者に提供する食料の量を確保することはもちろん、地域で作った健康な野菜を提供食料品に入れることでこうした食の質の問題も改善していくことにつながります。
〇貧困をなくしていくための支えあいの場づくり
農地の作業には、当団体のスタッフやボランティア以外にも、当団体の食料支援の利用者(生活困窮者)のうち希望者も参加できる形になっています。それを通じて、支援する/支援されるという二項対立の関係性を越え、貧困や飢餓のない社会を自分たちの手で形成する社会的なネットワークの新しいモデルとして社会に広く打ち出していきたいと考えています。
〇農地運営にかかわるボランティアを募集中
上記のような意義を実現する農地を運営するため、フードバンク仙台はボランティアを募集しています。雑草取りや土づくり、種植えや収穫といった具体的な農作業や、農作業の間や終了後の懇親会の運営、収穫物の配布作業、農地プロジェクトの発信、運営費集めなど、農地運営を行っていくためにやるべきことはたくさんあります。
農作業は主に土曜日(不定期)に実施する予定です。午前中からお昼時、またはおやつ時くらいまでの活動が中心です。実際の農作業以外にも、農地運営に関わる内容を検討するミーティングや、日本の食や農業の現状や課題、世界的な食糧問題に関する勉強会も実施します。こちらは平日の夕方や土日の夕方などに実施する予定です。
高校生や大学生、会社員や主婦、高齢者など様々な層の方たちに参加いただいています。ご関心のある方は一緒に活動しませんか?ボランティア希望の方は下記メールアドレスまでご連絡ください。
MAIL:foodbanksendai@gmail.com
〇クラウドファンディングも実施しています!
農地運営の資金を集めるために、フードバンク仙台はまちくるファンドさんでクラウドファンディングもはじめました!ご協力いただける方はぜひご寄付をお願い致します。また、拡散していただけると幸いです。
地域住民の生存を守るために、安心・安全な食料を生産する農地を運営したい!
〇活動の様子
参加されているのは高校生、大学生、主婦、高齢者、障がいの抱える方など様々です。スタッフのお子様と大学生。子供たちも楽しく作業してました。
まず最初にじゃがいもを植えました。
じゃがいもを植えた後はみんなでご飯をたべました。
農作業のあとみんなで豚汁をつくって食べました。この時は風が強すぎて大変でした。
〇メディア報道
・困窮者支援へ野菜作り フードバンク仙台が着手 寄付減、自前で食糧確保(河北新報2023/4/25)
〇フードバンク仙台の理事の「the Letter」でも農地運営の件について紹介
フードバンク仙台の理事の森が配信している「the Letter」、「でもフードバンク仙台についてや農地運営の意義について発信しています。よろしければこちらもご覧ください。