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ライフラインについての仙台市の回答(12/23)を受けて、再度申し入れを行いました!

「ライフライン無償化プロジェクト」は9月にフードバンク仙台や仙台POSSEで活動するZ世代の若者が始めたプロジェクトです。ライフラインの即時負担軽減・無償化を求めて署名活動や社会発信などを行ってきました。立ち上げについてはこちらのブログ記事をご覧下さい。

◯仙台市から質問書への回答が返ってきました

フードバンク仙台には、光熱費や食料品価格の高騰により以前にも増して生活が圧迫され、「ライフラインか食料か」という苦渋の選択を迫られた人々からの相談が多く寄せられています。電気・ガス・水道・携帯電話といったライフラインの代金を滞納している人の割合は相談者の2〜3割にものぼります。ライフラインが実際に停止してしまった相談者も少なくない状況です。

このような状況を受けて、12月9日に、仙台市に対して質問書と要求書を提出し申し入れを行いました。申し入れの詳細についてはこちらのブログ記事をご覧下さい。
こちらの申し入れは河北新報(2022年12月10日 ライフラインの負担軽減を 学生ら仙台市に申し入れ)でも取り上げられました。

そして今回、質問書に対する回答が12月23日に回答が返ってきました。回答については【回答】質問書をご覧ください。

◯仙台市のいう「丁寧な対応」とはかけ離れた実態

仙台市の管轄である水道局とガス局はいずれも、支払いが難しい利用者に対する配慮を行っていると回答しています。

水道局は、
「やむを得ず停水となった後もご相談がないお客様につきましては、架電あるいは直接ご自宅を訪問し、必要に応じて当該住居の管理会社等に聴き取り調査を行うなど、可能な限り当該お客様の生活実態の把握に努めているところです。」

またガス局は、
「ガス料金のお支払いに関するご相談に対しまして、電話や訪問により、職員が直接ご事情をお伺いしております。その中で、生活にお困りになっているとのお話があった場合は生活支援の窓口を紹介するなど、状況に応じた対応をしております」
「ガス料金の期日までのお支払いが難しいなど、料金お支払いのご相談をいただくお客さまには個別のご事情をお伺いし、延納や分納などの方法で柔軟に対応しているところであり・・・」と回答しました。

しかし、フードバンク仙台に寄せられた相談には、ライフラインが止められる際に、水道局やガス局の言うような対応(福祉の窓口への案内、延納や分納の案内、停止後の電話や訪問による生活状況把握)を受けなかったという事例がいくつもあり、仙台市の回答と実態との間に矛盾があります。具体的な事例は以下の通りです。

 

ケース①:50代女性

生活保護を受給している。ライフラインの滞納に関して、ケースワーカーに相談しても、「家計管理をちゃんとして」と言われるだけで解決しない。食費を削って公共料金を捻出しており、1日1食、パックごはんとふりかけだけで食事を済ますときもある。電気代を節約するため、夜は暖房器具をつけず、布団にくるまって暖を取っている。

現在はガスを利用できるが、10月末から12月初旬は停止していた。「保護費が5日に入ったらガス代を払うから、止めないでくれ」と言ったが、10月末に止められた。出勤しようと家のドアを開けたら、丁度業者の人がおり、「払っていないので止めますね」と目の前でガスを止められた。仙台市が管轄する都市ガスを利用しているが、停止前の相談時に分割や延納の話はなく、停止後も訪問・架電での生活状況把握、相談機関や福祉制度の紹介もなかった。

 

ケース②:男性

生活保護を受給していた。2022年5月から8月の4か月間、ガスが停止し、その間は冷水のシャワーだけで生活していた。その際、仙台市からは督促状が来ただけで分納や延納のお知らせや相談機関や福祉制度の紹介もなく、停止後も電話や訪問での事情把握などはなかった。今はガスは使えているが水道が止まっている。

 

◯今の貧困の状況を深刻に受け止めていない

水道局は、「他の自治体が行っているような全世帯に対する料金の減免などを今まで行ってこなかったのはなぜか(質問項目4)」に対して、「令和2年度には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い(中略)社会全体が「緊急事態」となった状況を受け、7月及び8月検針分の上下水道基本料金の一律減免を実施いたしました」「今後は、水需要の低下に伴う料金収入の減少や物価高騰による事業費の増嵩が想定される中、(中略)再度の料金減免等の対応を行うことは極めて難しいものと考えています」と回答しています。つまり、コロナ渦が始まった時は社会が緊急事態であったため、水道料金減免という対応を取ったが、今の情勢ではしないということです。

光熱費や食料品価格の高騰により人々の生活がますます圧迫され、暖を取ることも難しくこの寒い冬を越せるかどうか危うい状況にある人たちがここ仙台にいる現状は、十分緊急事態と言える状況です。対策が必要であることは明らかであるにも関わらず、それを全く緊急事態と認識していない水道局の回答は社会の実態とかけ離れています。

◯命を軽視する「公平性」の論理

水道局は、「料金が一定期間未納であれば止められてしまう状況に対してどのように考えているか(質問項目3)」への回答として、「水道事業は、お客様にお支払いいただく水道料金によって運営されており、未納の水道料金がありますと、料金をお支払いいただいたお客様との間に不公平が生じてしまいます。」と説明をしました。

また、ガス局は、「他の自治体が行っているような全世帯に対する料金の減免などを今まで行ってこなかったのはなぜか(質問項目4)」に対して、「供給区域内においても都市ガス以外の様々なエネルギーを選択している市民の方々もいらっしゃるため、安定的なガス供給及び支援の公平性の観点から、都市ガス料金の減免により全世帯へ支援を行うことは難しいものと考えております」と回答しました。

生活・生存に不可欠なライフラインが止められてしまう、もしくはいつ止まるか分からないという不安を抱えた生活を強いられる状況は、生きるという最低限のことさえお金がなければ保証されないということです。ガス局や水道局の掲げる「公平性」のためにライフラインを止められた人たちがどのような生活を強いられるのかは、上で挙げた事例からよく分かります。

「料金を払っている人との公平性」「民間との公平性」といった水道局とガス局の論理は、もっともらしく聞こえるでしょう。しかし、この論理の行きつく先は、お金が払えなければ生きる権利や普通の生活を送る権利が侵害されてもいい、という社会です。私たちは、このような社会であってはいけない、誰もが安心して生活できる社会であるべきだと考えます。

◯12月26日に仙台市に対して改めて申し入れを行いました!

12月19日に行った申し入れに対して、質問書への回答は返って来ましたが、支払いが困難な方に対してもライフラインを止めないこと、料金の負担軽減・無償化を行うことを求める要求書への回答は来ていません。また、これは仙台市への申し入れであるため、私たちは仙台市長と直接面会することを求めて交渉しましたが、1分・2分といったわずかな時間さえ市長と直接会うことはできませんでした。

仙台市は私たちへの回答の中で柔軟な対応をしていると言っていますが、実際にはやられていませんでした。先に上げた事例のように、仙台市のいう「十分」な対応すら行われていないにも関らず、実際にライフラインが止められてしまったという相談が我々のもとに来ています。文面上では取り組んでいるという対応もしていないのなら、市民の生存・生活を守るために支払いがすぐに難しくても絶対にライフラインを止めない、ということがいま必要です。実際に、相談の中で現在「水道が止まって公園で水を汲んでいる」方もおり、この寒さの中でいつ公園の水道が凍結して水がでなくなり生死の問題になるかもわかりません。また、「ガスが使えずお風呂に入ることができない」「ガスが使えないとまともに料理をすることができない」という相談もあります。だからこそ、今回分かった事実を基に改めて仙台市に対して申し入れを行いました。要求事項は以下の通りです。

【要求事項】

①支払いがすぐには難しい方に対しても、「柔軟で丁寧な対応」を行い、即座にライフラインを止める対応をやめてください。

②仙台市長に対し、市民の生活困窮の実態を共有し、要望の根拠を説明するための機会を設けてください。

◯アンケート調査を実施します!

今回の回答を受けて、仙台市の言う「丁寧で柔軟な対応」が実際に行われているのかどうかを明らかにしていく必要があると考えています。上で述べたように、「丁寧で柔軟な対応」をされずにライフラインが止められた事例は、現時点で既にいくつも得られており、今後も継続して調査を進めていく予定です。
そこで、より多くの人の声を集めるために、フードバンク仙台の利用者以外の方々にもこの調査にご協力をしていただけるよう、アンケート調査を実施します。ライフラインの料金を滞納した、あるいは停止したことがある方は、当時の生活状況やご自身の気持ち、行政・会社の対応などを書いて教えていただきたいと思います。アンケートへの記入はこちらからお願いいたします。
私たちは、フードバンク仙台を通じて繋がった相談者の方に対する支援を行っていますが、そうでない人たちの中にも生活に困窮している人は多くいると考えられます。その人たちとの繋がりをつくり支援を行うとともに、より深く仙台の貧困の実態を把握し顕在化させ、社会に向けて発信を行っていくことで、ライフラインが全ての人に保障される社会を実現するための次のアクションに繋げていきたいと思います。
また、ライフライン事業部と市や福祉部がどのように連携しているのかについても調査をしていく予定です。

◯12月27日〜28日にかけて緊急支援の相談を受け付けます!

今日までにも多くの方からライフラインの停止/滞納に関する相談を受けてきましたが、年末役所なども閉まってしまい、相談もすることが出来ない方もいると思われます。そこで、フードバンク仙台による緊急の食料・水の配布支援を行います。ライフラインの滞納が続いていていつ止まるか分からない、既に止まっていて生活が苦しいという方は、電話またはメールにて現在の生活状況などをご連絡ください。

電話相談は12月27・28日11:00〜18:00の間、メール相談は12月28日の18:00まで受け付けます。12月29日(ゆうパックでの送付になる場合は30日着)に食料と水の配布を行う予定です。お困りの方はお気軽にご連絡ください。

電話番号:070-8366-3362

メールアドレス:foodbanksendai@gmail.com

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