多くの皆さまに活動費の寄付、食糧品の寄付、そして日々活動にご協力いただいた皆さまのおかげで、延べ3,318世帯(延べ6,306名)へ生きるために必要な食料を無償でお届けし、命と暮らしを守り、そして困った時は必ず助けてくれる人がいる、という生きる希望や元気を与えられたことを、心から深く感謝すると同時に、皆さまとこのような活動ができたことを誇りに思います。
当団体は、2020年5月7日に団体発足し、5月22日(金)から支援の受付を開始し、5月25日(月)から実際の食糧配達を開始しました。発足した5月で既に、月100世帯からの食糧支援依頼が寄せられ、その後も支援依頼数は10月に倍増、12月に更に倍と増え続け、2021年2月には1ヶ月間だけで377世帯(935名)という数にのぼり、迅速に食糧をお届けしてきました。
発足直後から食糧品・ボランティア・活動資金の集め方、多い日に50件を超える相談等の電話対応に忙殺される状況が続きました。
活動をおこなう上で、資金面では、フードバンク活動は1円も収益を生まない活動ですので、早急に活動資金集めに注力する必要がありました。
支援する食糧品は、ひと月に935名分の食糧となると1活動日毎に約90名(計140㎏)の食糧が必要となり、ご寄付いただいた食糧だけでは足りなくなり、一刻も早くお届けするために食糧品を購入してお届けしてきました(食糧品費300万円ほど)。
お届けの仕方は、仙台市内でクラスター発生後はフードパントリーによる配布は中止し、全て個人宅への個別宅配でお届けしてきました。しかしSOSの件数に対し配達ボランティアの数が足りず、人手が足りない時、また大雪等で危険が伴う時には、宅急便を利用してお届けしてきました(配達費100万円)。
課題としては、こうした状況下で、同時に現場の体制づくりを試みてきたものの、なかなか築くことができなかった点、そのことで上記の日々の活動(食糧・資金・ボランティア集め、電話対応、来客対応等)に多くの時間を割かれることとなり、当団体の最大の目的である“食糧支援を通して生活の困り事を包括的に解決していく”取組みまで十分におこなうことができなかったことが課題として残りました。
行政や相談窓口への同行、生活保護受給、住居探し、福祉サービスへの繋ぎなど、じっくり相談支援ができた件数は数十世帯程でした。他の相談機関との連携も、それ自体に時間を割くことができない程の状況でした。こうしたことから来年度は、早急に日々の現場での活動(荷造り、配達、事務、電話対応等)、食糧や寄付金集め情報発信等の外回り等にご協力いただけるボランティアさんを更に募り皆で分担しておこなっていくこと、また相談対応できるメンバーを増やしていくこと、そして他の相談機関や団体と連携していくことで、より生活全般の困り事の相談支援に注力できる体制を整備していくことが必要です。当団体にSOSが寄せられ支援した延べ6,000人から見えてきたコロナ禍の現状は、内約1/3がひとり親世帯、1/3が外国人・留学生、1/3が日本人・学生となっています。年齢でみると世間一般では働き盛りと言われる20~60歳が全体の60%を締め、それに比例して20歳以下の子どもの貧困が40%を占めています。特記は21~30歳の割合が29%と一番多いことです。
コロナ前と後の変化では、ひとり親世帯の困窮は更に悪化しており女性の自殺率は昨年の2倍となっています。その他にも、外国人・留学生と日本人学生の困窮者が新たに浮き彫りになりました。全体的に言えることですが、特にこの2者に対する社会保障や相談機関は元々少ない為、支援は急務です。
フードバンク仙台にSOSを寄せていただいた方は氷山の一角ですが、この活動報告書が示す通り、コロナをきっかけとした不当解雇、違法な休業手当の未払い、外国人労働者や留学生、日本人学生、ひとり親世帯、子どもの困窮の現状が浮き彫りになっています。今、ここ仙台でも健康で文化的な暮らしはおろか、食べ物すら十分に得られない暮らしをしている人が沢山います。一方で食べられない人がいる社会はあってはいけないと考えています。こうした時だからこそ、皆で協力し連携し、より生きやすい社会になるよう活動していく必要があると強く感じます。引き続き、2021年度も皆さまのご支援ご協力をどうか宜しくお願い致します。
活動報告書