私たちと一緒に社会的課題の解決に
取り組んでみませんか?


コロナや物価高騰によって日本でも「数日間水しか飲んでいない」といった、食料を十分に食べることができない深刻な貧困が広がっています。その一方で、日本では一年間に東京都民が一年間に食べる食品の量とほぼ同じ程度のまだ食べられる食品が捨てられています。フードバンク仙台ではこのような社会的課題を解決するため「貧困や飢餓をなくしたい」、「食品ロスを削減したい」などの関心を持つ方からのボランティアのご応募をお待ちしています!私たちと一緒に社会的課題の解決に取り組んでみませんか?


ボランティア活動の紹介

食糧支援申請者にお送りする食料のパッケージを作ったり、寄付いただいた食料の仕分けをします。

食糧支援申請者の生活が困窮する原因を解決するために、制度情報や支援機関の紹介など様々な支援団体と連携しています。

食糧支援申請者への聞き取りや、聞き取り情報をもとに現在広まる貧困の原因を分析し、政策提言を行います。

食糧支援申請者のもとへ伺い、直接食料をお配りします。

仙台市内で栄養価の高い有機栽培を作っています。作った野菜は食料支援申請者にお配りしています。

留学生や技能実習生などの移民への食糧支援や、生活・労働相談を行います。


 

募集要項

※4/1(月)にボランティア応募のメールを下さった方へ(返信ができません)

活動日時 月・木・金曜日(祝日のぞく)9:30〜17:30
※活動日のうち1週間に1日3時間以上シフトを入れていただいております。
活動内容 食料の箱詰作業、食品の検品・整理作業、寄付品受付、電話受付、車を使用した食品配達、データ集計等事務作業、生活相談対応などの様々なボランティア活動の中から、ご希望のボランティア内容を選んでいただけます。詳しくは個別の説明会でご紹介します。
応募要件 学歴・年齢・経験不問です。
応募方法 メールでお問い合わせください。その際、件名に「ボランティア応募」とお書きください。
また、メール本文に以下のアンケートの回答もご記入いただき、送信してください。
(1)お名前・電話番号
(2)ご年齢(〇〇代で結構です)
(3)お住いの市町村(仙台市、名取市などで結構です。区、町以下の記入は不要です)
(4)どちらの情報を見て当団体を知ったのか(新聞/テレビ/団体公式HP/団体公式SNS/知人など)
(5)当団体のボランティアに参加しようと思った理由・動機
(6)やってみたいボランティアの内容(ご希望が決まっていなければ空欄で結構です)
(7)心身のご体調・障害等で団体に配慮してほしいこと(特になければ空欄で結構です)
応募後の流れ 個別の説明会に参加していただき、団体の理念や活動内容、ボランティアのルール等を説明させていただきます。

【お問い合わせ先】
フードバンク仙台 事務局
【活動日】
月・木・金曜日10:00~16:00(祝日休み)
【所在地】
〒980‐0022 仙台市青葉区五橋2‐6‐16第2ショーケービル101号室(みんなのBASE 内)
【メール】
MAIL foodbanksendai@gmail.com
※送信側のメールのセキュリティ設定により、当団体からの返信メールが届かないことがあります。メールでお問い合わせいただく前に、上記の当団体のアドレスを受信できるように、ご自身のメール設定のご確認をお願いいたします。

 

食料支援ボランティア

フードバンク仙台は寄付していただいた食品を、生活に困っている方々に配ることによって生活の支援をしています。2020年5月に結成し、2023年9月末までに、困窮する世帯を対象に、延べ約2万4千人へ、総計約50万食の食料を無償でご自宅までお届けしました。また、食料支援依頼者の生活相談を受けることを通して、その方を福祉につなげたり、貧困に陥ってしまう社会的背景についての調査をおこなうといった活動もしています。

ボランティアの声


(伊藤さん)
2021年秋からボランティアとして活動している伊藤さん(仮名)に、食料支援・生活相談支援の活動についてお聞きしました!
この活動を始めたきっかけは何ですか?

もともとパワハラを受けてうつになって、仙台に来て生活保護を受けていたんですが、所持金もなく食べるものもなかったんです。そしたら労働問題の支援をしてくれていた方から、「フードバンクというのがあるよ」と紹介してもらって、そこに連絡してくれて、僕に食べ物を無償で提供してくれたんですよ。その時、あまりにもうれしくて泣いてしまったんです。その時の嬉しさがずっと残っていたんです。それで「もしかしたら毎日食べ物に困っている人って僕だけではないんじゃないかな」と思っていたんです。そのあとフードバンク仙台のスタッフの方から、「ボランティアをやってみませんか」と誘われて。食料をもらったときの嬉しさが残っていたので、二つ返事で「ぜひ、私で力になれるなら参加させてください」というので、参加し始めたのが、フードバンクに関わるようになったきっかけになります。(伊藤さん)

日々の箱詰め作業の中で、思うようになったことはありますか?

毎日二十数世帯、人数にすると四、五十人の方から食料支援の依頼が来るんですね。だから、「やっぱり、こんなに食料に困っている人がいるんだ」ということが実感できたので、「食べ物の心配をしないで、お腹いっぱいに食べてほしいな」という気持ちでいつもパッケージングしています。なので、僕の場合は1人分の箱に「たくさん食べてほしい」という思いで箱パンパンになるまで詰めています。(伊藤さん)

フードバンク仙台の特徴は何だと思いますか?

1つ思うのは、貧困に陥る理由は人それぞれだと思うんです。そこの聞き取りができていないと、その人は次のステップには進めないと思っていたんですけど、フードバンク仙台は本当によく聞き取り調査をしていて、そこから福祉制度につなげることによって、次のステップに進めるように手助けしているところが、本当に素晴らしいな、という思います。実際にそれで救われた人を、お礼の手紙やメールなどで見てきているので、この活動はすごく大事なことだと思います。(伊藤さん)

食品の箱詰め中、「ライフラインや調理器具が使えないのでこの食品は入れられない」ということはありますか?

結構あります。そういう人のときは、炊飯器がないとアルファ米、ガスが使えない人だとお湯が沸かせないので袋麺などが入れられないから、代わりに缶詰を入れたりしています。タンパク質が取れるので缶詰は重宝して使っています。(伊藤さん)

箱詰め作業で注意していることはありますか?

家族構成や年齢を気にします。何歳ぐらいの方なのか、お子さんがいるのかとか。お子さんがいるのならお菓子を入れてあげたいよなとか、乳幼児だったら離乳食とか。年配の方だったら、固いものはやめたほうが良いかなとか。(伊藤さん)

これからのフードバンク仙台や社会全体が、どうなっていってほしいと思いますか?

フードバンク仙台はほぼ100%寄付で成り立っているので、どうしても(インスタント麺やアルファ米などの)炭水化物に偏りがちなんですね。そこで去年は「バランスのいい、質の良いものを提供しよう」と野菜作りを始めました。今年は去年の反省を生かして、時期をずらして様々な野菜を切れ目なく提供できるように、という計画があるので、それが実現出来たら良いなと思います。
あと、これは個人的な思いなんですが、生活保護の水準を若干上回っていて制度を利用できないけど、病気などを抱えていて通院代がすごいかかって生活が苦しい人たちを、どう手助けしたらいいんだろうと、すごい歯がゆいなと思っていて。もっと使いやすい制度になって、制度のはざまにいる人、つらい思いをするひとが1人でも減ってほしいと思います。(伊藤さん)

最後に、ボランティアに関心のある方へ、一言お願いします!

「フードバンクを利用された方も良かったら、一緒にボランティアしてみませんか?」と伝えたいですね。フードバンクを利用した方で、僕と同じように「助けてもらったから力になりたいけど、支援を受けた自分がやってもいいのかな」と思っている人が少なからずいるんじゃないかなと思っていて。しかも、参加するからといって自分が過去にフードバンクを利用したことがある、と周りに言う必要は全然ないですし。活動時間の最初から最後までずっと参加できなくても、3・4時間からでも大丈夫です。(伊藤さん)

 

相談ボランティア


フードバンク仙台では、生活困窮者へ食料をご自宅へお渡しするだけでなく、生活が困窮する原因を解決するために、生活相談を行っています。具体的には、生活保護の申請同行や、法律家と連携した債務整理、福祉制度への繋ぎ、不動産と連携した家探し、制度情報や支援機関の紹介など、様々な支援団体と連携しながら行っています。

生活の再建を目指して
食料支援は命を守る為の緊急支援であり、つなぎの支援に過ぎません。食料支援が必要になる理由が確実に存在します。食料支援利用者からじっくりとお話しをうかがい、その要因を分析し、使える制度を紹介や、制度利用のサポートなどを行います。

制度利用・権利行使のサポート
生活が困窮した際に利用できる福祉制度や社会保障制度も、「相談先がわからない」「そもそも自分が利用できると思わなかった」などの理由で多くの人が利用できていない実態があります。フードバンク仙台では、こうした方々に対して食料支援と合わせて状況に合わせた相談を行い、情報提供や支援機関の紹介を行っています。
また、「最後のセーフティーネット」と言われる生活保護の申請の際には、役所の窓口で「家族に頼れ/若いから働け/車を持っているからダメ」と言われ、違法に追い返されてしまうケースがあります。これに対して私たちは、当事者の方と一緒に役所へ行き、申請に同席したり、行政の違法な対応の改善を求めたりしています。

貧困の原因には労働問題があることも
さらに、職場でのパワハラによる失業や、賃金未払いなどの労働問題によって生活に困窮する場合もあります。フードバンク仙台では、こうした方々を連携している地域の労働組合や労働者支援団体につなぎ、労働問題の解決や職場環境の改善を行なっています。
※相談ボランティアにはとくに専門的な知識が必要になりますので、活動に関わるには一定期間の研修を受けていただき、団体から認められた方だけになります。申し込みいただいた方の全員が関わることができるわけではないので、ご了承ください。

ボランティアさんの声


(前野さん)
相談ボランティアを始めたきっかけを教えてください。

フードバンクのボランティアに来て初めて、生活保護を使えるはずの人が窓口で申請を阻まれてしまう「水際作戦」の問題を知りました。「こんなにおかしいことが普通に起こっているんだ」という驚きがありましたが、違法な制度運用を改善させるために取り組んでいる人たちがいるということも同時に知りました。
そのように、人々を貧困にさせる社会的な要因に対して取り組んでいくことが必要だと感じ、その一歩としてまずは、困窮する方の抱える問題や実態が一番見えてくる相談の現場に関わるようになりました。(前野さん)

相談ボランティアのやりがいはどこにありますか?

相談者の方の中には「貧困になったのは自分のせいだ」と感じている方や、生活保護の窓口で不適切な説明・対応を過去にされても「仕方がない、そういうものだ」と思っている方が多くいます。
そのような時は、「困窮しているのはその人のせいではない」ということを伝えるようにしています。その結果、相談者の方が「自分がされた対応や、職場のパワハラはおかしいことだったんだ」という気持ちになり、再度生活保護の申請に行くなど、権利行使をし、生活再建につながったときはやりがいを感じます。(前野さん)

 

調査・分析・提言

フードバンク仙台では、各世帯への食料支援・生活相談の他に、利用者の方々への聞き取りやGoogleフォームの回答結果をもとにした、貧困の調査・分析活動を行っています。
また、調査・分析の結果を踏まえて、貧困対策への提言活動も行っています。

支援の最前線だからこそ見える、貧困の実態

フードバンク仙台では、2022年度、延べ3023世帯(延べ5957人)に約125000食の食料支援を行いました。2023年度に入ってからは、これまで延べ2545世帯に食料支援を行ってきました。
食料支援を行った全ての人から、申込の際に「食料支援申請フォーム」に回答していただき、生活や仕事に関する様々な質問(年齢、世帯人数、月の収入・支出の内容、仕事や失業の状況、ライフライン・家賃の滞納状況など)を行っています。
また、困窮の実態や背景について、より詳細に把握するために、電話での個別の聞き取りも行っています。
これらの情報は、一人ひとりの利用者の方の状況を把握し必要な支援を行う上で重要であると同時に、「今、仙台でどのように貧困が広がっているのか」「どのような属性の人が、なぜ・どんな背景によって貧困に陥っているのか」を明らかにし、社会全体の問題としての貧困をなくしていくためにも、たいへん重要なデータと言えます。
このような、貧困の詳しい実態について、行政などによる調査は十分に行われているとはいえません。
生活保護の申請件数が年々増加していることからも、日本全体で貧困がますます広がっていることは明らかですが、その実情を明らかにするための取り組みはまだまだ不足しています。
(共同通信「生活保護申請、4年連続増25万5千件、コロナ禍に物価高」より)
だからこそ、私たちのような、日々「食べ物が買えない」という相談を受けている団体が調査活動に取り組むことには、大きな意義があると考えています。貧困支援の最前線を担い、多くの困窮者の声を直接聞ける立場にいるからこそ、置かれた状況や背景をより明らかにすることができます。裏を返せば、困窮する人自身の声を聞くことによってしか、本当に必要で有効な貧困対策を考えることはできないと考えます。

「HEAT or EAT」=「暖を取るか、食料か」選ばざるを得ない困窮状況

フードバンク仙台の相談現場には、「所持金が数円しかない」「今月の家賃やライフラインが払えない」「1日1食しか食べていない」といった、まさしく生存の危機としか言いようのない人たちからの食料支援依頼が日々寄せられます。
その典型的な表れとして、「ライフラインの料金を払えば、食費を削らないといけない。食事を十分に摂ろうとすると、ライフラインを滞納してしまう」という、生活に不可欠なものを何かしら削らざるを得ない「HEAT or EAT」の状態が見えてきています。
この言葉は、日本と同様に物価高騰・エネルギー価格の高騰が深刻となったイギリスで生まれたものですが、まさに今のフードバンク仙台の現場で見えている実態を表す言葉だと言えます。
下の図は、フードバンク仙台の相談者全体に占める、ライフラインの滞納/停止の割合です。特に電気・ガスは3割以上の人が、少なくとも1ヶ月、中には3ヶ月以上の滞納をしています。また、特にガスは、滞納の末に止められてしまっている人もいます。ガスが止まってしまえば、水風呂しか使えない・火を使う料理ができないなど、最低限の生活をする上で大きな支障が出てしまいます。
いくつか象徴的な事例を紹介します。(2023年度に行った聞き取りより)

40代女性。生活保護を利用しながら、息子と二人暮らし。息子に食べさせて自分は1日1食夜だけ食べる。野菜などの高いものは中々買えず、安い食品を選んで買う。電気代が月に1万円ほどかかり、食料も値上げしている中で、電気代をこれ以上値上げされたらどうにもならないと感じる。エアコンでは部屋が温まりにくく、灯油も買えないので、暖はこたつのみ。
31代女性。子ども、配偶者の3人暮らし。共働きで、収入は生保基準を上回る。しかし家と車のローン返済があり、生活費に充てられるのは14万程。暖房はできるだけ使わない。お風呂上りなどだけ一瞬つけて、あとはコタツか、厚着をしてしのいでいる。
20代男性。アルバイトの収入が月11万。貯金は10万以下。食費0〜5000円。1日1食が基本。昼食にパン、スーパーの総菜、同僚からもらうカップラーメンなどでしのいでいる。大幅に痩せたと周りからよく言われる。胃の調子がすごく悪い。病院には行っているが、節約のためなるべくかかりたくない。

いずれの方も節約のために食事や暖を取ることを我慢しており、「人間らしい生活」を送ることが困難な状況であることがわかります。これらの事例は、特殊な、特に大変な方というよりは、相談者の多くの方から聞かれる内容となっており、貧困の広がりと深刻化が現れています。

生活保護基準が低すぎる


上の1つ目の事例からわかるように、「生活保護を使っていても、人間らしい生活を送れない」ということも重要な点です。
仙台市の場合、障害のない1人暮らしの方の生活保護費(最低生活費)は1ヶ月あたり約10〜11万であり、物価高の中これだけで生活することはとても困難です。
一方で、2つ目の事例のように、「生活保護の水準をギリギリ上回っていて使えない」という方も、同じように極限まで切り詰めた生活をしていることがわかります。
生活保護費(最低生活費)の基準が、「人間らしい生活」を送るには低すぎるという問題により、「生活保護を使っている人」も「ギリギリ使えない人」もどちらにせよ苦しいということがよく分かります。

「生きていけない社会」への対抗


現場で見えてきたことをもとに、今必要とされる貧困対策の提言活動も行っています。
これまでは、ボランティアの有志で立ち上げたライフライン無償化プロジェクト(2022年〜)において、水道局・ガス局に「滞納しても供給を停止しない」ことなどを求めて申し入れを行い、「相談すれば延納できる」ことを明文化させるという成果がありました。
また、東北電力が2023年6月から行った電気代値上げに対して、反対し値下げを求める署名活動などを行ってきました。
プロジェクトの特集のドキュメンタリーは以下のリンクからご覧いただけます。
【リンク:「水なきゃ生きていけないでしょ」 学生たちの問いかけ・知っトク東北/NHK】
※リンク先は予告なく変更または削除される場合があります。

フードバンクの現場で見えてきているのは、「このままでは生きていけない」という貧困の実態です。生活保護費が低く、かといって働いて生活するのも大変、家族を頼るにも限界がある…という「どうにもならない」状態に、多くの人が直面しています。
このような貧困の広がる社会を変えていくためには、今ある制度の改善を求めること、さらには「ライフラインの無償化」(ライフラインの他にも住居、教育、医療など…)のような、より根本的・普遍的な対策を求めることが必要です。
貧困を生み出す社会、普通に生きることすら大変にさせる社会そのものの問題を提起し、誰でも生きられる社会を求める活動を今後も行っていきます。
フードバンクという取り組みには、一人ひとりへの食料支援をする以上に、現場から貧困問題を発信し社会へ影響を与えていけるような可能性があると思います。
今後さらに調査・分析を充実させ、貧困をなくすための取り組みを行っていきます。

ボランティアとしてできること

調査・分析・提言活動に関わってみたいという方のご参加をお待ちしています。
【活動内容】
相談者への電話かけ(聞き取り調査)・・・主に事務所の活動時間(毎週月木金10時〜16時 祝日休み)に行っています。
Googleフォームの集計結果や、聞き取り結果をもとにした分析のミーティング(随時開催)
ライフライン無償化プロジェクトの会議(随時開催)
調査結果のレポート作成
HP・SNS・記者会見などでの発信 など

 

配送ボランティア

「フードバンク」ではめずらしい個別配送


フードバンク仙台は、福祉施設やNPOなどの団体への食料支援と同時に、食料支援の申し込みがあった個人宅への食料支援も行っています。
じつはこれは「フードバンク」としては珍しく、一般的な「フードバンク」の利用者としては「福祉施設・団体」が想定されています。
個人宅への配達ができるからこそ、フードバンク仙台には多くの人からの支援依頼がくるようになっており、なんらかの理由で福祉を受けられない人や、生活が苦しい人の生存を守ることができています。
生命の危機に直面している人からの相談があった場合、相談者の家に食料を届ける際に経験が豊富な専門スタッフも同席して、相談者のかたとお話しをすることもあります。

配送ボランティアの声


(左:たがみさん/右:阿部さん)

配送ボランティアを始めたきっかけを教えてください。
社会に役立つことをやりたいと思い、インターネットでボランティアを探していたところ、フードバンクの活動を知りました。また、可能なら人に直接食べものを届けたいと思い、フードバンク仙台に行き着きました!(たがみさん)

配送ボランティアのやりがいはどこにありますか?
食べものが必要な人に、直接届けられるのがよいと思っています。
食べものを届けた人からの電話で「助かりました」「人生を諦めていましたが、前向きになれました」「こどもが喜んでいました」などと言ってくれたときは、やってよかったと思いました!(たがみさん)

配送ボランティアを始めたきっかけを教えてください。
地域の合唱仲間にフードバンク仙台の活動を教えてもらいました。最近耳が悪くなってしまい、合唱を続けるのが難しそうだったので、合唱のつぎはフードバンク仙台の活動の挑戦してみようと思いました。(阿部さん)

配送ボランティアのやりがいはどこにありますか?
配送ボランティアを始めてからは、退屈な時間がありません(笑)。自分の時間を使って、人に喜ばれるのは本当に嬉しいことです!
いくつか印象に残っている出来事があります。
コロナ禍、5人くらいの人が集住しているアパートに配達をしたことがあります。コロナでお店が休みになってしまって、みんな食べものに困っていたようです。食料をお渡しすると、みなさんで玄関先まで出てきて深々とお辞儀をしてくださったんです。非常に感激しました
また、これは最近の話ですが、母子家庭の世帯に食料を配達したときのことです。「冷蔵庫に食べものがなにもなく、子どもに食べさせることがなかったから本当に助かった」と言われたことがありました。(阿部さん)

 

農地運営ボランティア

フードバンク仙台では寄付された食べ物を支援依頼者に提供するだけでなく、農地を運営し自分たちで野菜をつくり、支援依頼をされた方々に配布しています。

物価変動に左右される人々の命

現在、スーパーやコンビニ、ファストフード店には多種多様な食品が当たり前のように売られています。しかし、その食品の多くが、海外産であったり、農薬を使用してつくられたものです。このような食料システムのあり方は、特に有事の際にその不安定さが露呈します。たとえば、日本とは地理的に遠い国の戦争や災害であっても、食料の値段の高騰に直結してしまうのが良い例です。
そのようにして起こった物価高騰はとくに貧困層の生活を圧迫しています。

上のグラフは、フードバンク仙台が2023年の4〜6月に食糧支援を行った601世帯(総人数1194人)の「食べ物を買えない状況になった理由」を集計・分類したものです。このグラフから食料を買うことができなくなった理由として「物価高騰・エネルギー料金の高騰」を挙げている世帯が279世帯と約46%に上っていることが分かります。このように物価高騰は貧困層の人々の生活に、食べ物が買えなくなるほど大きな影響を与えているのです。

農地運営を通した自治の実践

「誰も飢えることのない地域をつくる」という自治の実践です。フードバンク仙台には毎日20〜30世帯から食料支援依頼がきます。この人たちは「食」の権利を侵害されている状態にあります。そのような状態は“おかしい!”“変えていきたい!”と考えている人たちが自主的に農地運営に関わっています。

農地運営に関わっている人は普段からフードバンク仙台でボランティアをおこなっている人だけではありません。なかには食糧支援を受けたことのある人や、仙台に住んでいる留学生も参加しています。
このように農地運営には、「誰もが飢えることのない地域をつくりたい」という思いで多くの人たちが参加しています。そこには、その人の属性や住んでいる地域、お金の有無などは関係ありません。
今後は特にフードバンク仙台の利用者の方にもより参加してほしいと考えています。このような取り組みを通して支援する側・支援される側の関係を超えた関係性をつくっていき、それぞれの人が自分が貢献できる範囲で活動していくという自治のあり方を構想・実践していきたいと考えています。

農地ボランティアの声


(左:大槻さん/右:小林さん)

どのようなきっかけでフードバンク仙台に関わるようになったのですか?

私は定年してからの農業なのですけれども、農業を始めるにあたって農業学校で勉強をいたしまして、そして農地を借りて農業を始めていました。そして、そこでできた作物をフードバンクさんに提供できないかなと思い、ちょうど1年前にお尋ねいたしました。そうしたところ、直接畑を運営するというお話があったものですから、あわせて畑のお手伝いをしていただけないでしょうかということで現在に至っています。(小林さん)

実際にフードバンク仙台で農地運営をやってみてどのようなことにやりがいをかんじていますか?

私たちボランティアでつくった農作物が、直接私たちの手で、求めていらっしゃる方に配布して食べていただけるというような実感をもてるというのが一番やりがいとなっています。こうしてボランティアの皆さんと親しく、汗を流しながら作業できること自体も非常に楽しいなと思っています。(小林さん)

フードバンク仙台が農地を始めると聞いたときはどのような印象をもちましたか?

今まで、フードバンクの印象としては、加工品・出来合いのものを配布することだけが仕事かなと思っていたのですけれども、直接生産なさるということで、これはすばらしい発想だなと思いましたし、今まで聞いたこともないことだなと思いました。そういった、直接畑を運営されるのであれば、私も何か役に立てることがあるんじゃないかなと感じました。(小林さん)

これからフードバンク仙台の農地運営に関わってみたいなという方に何か一言願いします。

この畑では、最初の種蒔きや植付け、土地の管理から最終の収穫まで全部体験することができますし、それがまた、必要とされる皆さんにお届けできるというやりがいをすごく感じることができます。農業をちょっとでもやってみたい方にはすごく有意義なことだと思います。ぜひともいらっしゃってください。(小林さん)

農地ボランティアを始めたきっかけを教えてください。

私は農地運営を始める1年前くらい前からフードバンク仙台の活動に関わり始めました。そのなかで、日本で食べ物を買えない人がたくさんいるという現実を突き付けられ、何度も「生存権ってなんだろう?」という素朴な疑問を考えるようになりました。
そんななか、フードバンク仙台が農地運営をするという話を知りました。それを聞いて、この取り組みは生存権の考え方を根本的に変えるきっかけになるのではと感じました。食べ物は生きるために必要不可欠なはずなのにもかかわらず、今の社会ではお金がないと食べ物を得ることができません。そのことは本当に生存権を保障しているとは言えるのか疑問を持っていたからです。
最初から売ることを目的としていない野菜を生産し、必要としている方に提供するという実践は、「お金の有無に関係なく、栄養価の高い食べ物を得ることは人間がもっている権利だ!」ということを社会に向けて表現することが出来ます。そのことで今の生存権のあり方に変化を起こす可能性を感じ、農地ボランティアを始めました。
より積極的に参加するために福島県から仙台にわざわざ引っ越しまでしました(笑)。1年前の自分では考えもしなかったと思います。(大槻さん)

農地ボランティアのやりがいはどこにありますか?

食料を必要としている人のためにつくることや、栄養価の高い食料を提供できることなど、様々なやりがいがあります。しかし、私にとっての一番のやりがいは、現在の「食」のあり方を変えるという大きなビジョンのもとで農地運営をおこなえることです。
フードバンク仙台には毎日たくさんの方からの食料依頼が届きます。一方で、世界中では大量の食品ロスがでています。しかもこの大量の食品ロスは廃棄の過程で大量の二酸化炭素を排出しています。このような大きな社会矛盾をなくすためには、いまの食料生産のあり方を根本的に変える必要があると思います。その変革の一つの実践がフードバンク仙台の農地運営だと考えています。ロスがでない食料生産をしながら、食料を必要としている人に提供できるからです。
現在の食料システムの矛盾をなくしていくという大きなビジョンをもった農地運営は、やっていくなかでより良い方法を考えていかなければなりません。そのため、農地運営をする人たちがみんなで知恵を絞っていく必要があります。そのことが小手先の社会「改良」ではなく、本当に社会を変えていくための実践をおこなっているという自負につながり、やりがいになっていると感じています。(大槻さん)

 

移民支援ボランティア

仙台で暮らす留学生への支援

仙台には、ネパール、ベトナム、スリランカ、バングラデシュなどから来日した留学生が多く生活しています。フードバンクには特に日本語学校や専門学校に通う留学生から、食料支援の依頼が多く届きます。そこで、生活に困窮しやすい留学生を中心とした移民の方々を対象に、連携する支援団体が主催する フードパントリー(食糧支援会)へ食料提供を行っています。フードバンク仙台のボランティアも参加して、食料支援や、生活・労働相談を行っています。

留学生が生活に困窮する背景

留学生の多くは、母国からの仕送りもなく、アルバイトによる収入で生活費や学費を全て支払わなければいけません。しかし、留学生には週28時間(学校の長期休業中は週40時間)というアルバイトの時間上限があります。そのため、工場や飲食店などのアルバイトを夜勤でしても、月に10数万円以上の収入を得ることは困難です。留学生の就くことのできる仕事の多くは、非常に低賃金であることも問題です。そのため、多くの人が貯金する余裕もないのが実態です。また、留学生は職場で差別的な扱いやパワハラなどの労働問題に遭うケースも少なくありません。こうした、「日中は学校、深夜はバイト」という生活の中で、十分な睡眠や休憩をとることができない人も多くいます。
さらに、失業や病気による生活困窮のリスクから生活を守る制度である生活保護は、外国籍の人は権利として認められているわけではありません。そのため、「日本人」であれば使える福祉制度からも留学生は排除されることになってしまいます。
フードバンク仙台は、こうした留学生への食料や生活の支援を通して、仙台という同じ地域に暮らす人たちの生存を守っていき、国籍関係なく、「誰もが当たり前に生きられる社会」を目指しています。

フードパントリーの様子



フードパントリーでは、仙台市内の複数の日本語学校から留学生が参加してくれています。食料を受け取ったあと、複数人の留学生とスタッフでお菓子やお茶をとりながらおしゃべりします。ゆっくり時間をとってお話を聞いていくと、職場の労働問題や、金銭面の不安、生活の苦しさなど、様々な問題を抱えていることがわかり、そこから支援につながるケースもあります。また、「今は特に問題はない」という留学生にとっても、「今後何かに困ったらいつでも相談できる場所」となることができるよう、今後も定期的にフードパントリーを開催していきたいと考えています。

食糧支援から権利行使へ

過去には、賃金未払いの問題を抱える留学生が、フードバンクの食糧支援を通して連携する地域の労働組合とつながり、労働問題の解決に至った事例もあります。このようにフードバンク仙台では、食料支援を通して、留学生の権利行使を生存基盤の面から支援しており、今後もこうした取り組みを継続していきたいと考えています。
活動に参加する留学生の声
こうした活動を継続する中で、「同じ留学生として、様々な問題を抱える留学生の支援をしたい」という思いで、私たちと一緒に活動している留学生がいます。今回はその方へ、活動を通して感じたことを聞きました!


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